2009年10月8日木曜日

主観訴訟と客観訴訟

Q.なぜ個人の権利利益の保護を求める主観訴訟以外に、個人の権利利益の救済を目的としない客観訴訟が必要なのか?思ったところを述べよ。
A.個人の権利利益とは別に、行政活動の適法性の確保や客観的法秩序の維持を目的とする主観訴訟の存在する理由を考えてみる。主観訴訟は、個人の権利利益という「訴えの利益」があり、「個人の救済」という目的を達成するため。一方、客観訴訟では、個人の権利利益の救済は達することはできないのになぜそうした訴訟類型が必要とされたのか?いいかえれば、客観訴訟の「訴えの利益」は、国民が求めている利益といえるのか?
いえるとする場合、それは、「行政活動の適法性」や「客観的法秩序」という価値が、尊重・保護に値すると国民が考えているからに他ならない(考えがなければ制度として不要)。つまり、「行政活動の適法性」や「客観的法秩序」を尊重しているということは、その前提として、行政主体による行政活動の存在と、客観的法秩序をもたらす法による支配を尊重しているということであり、いいかえると、行政作用や法秩序の存在の必要性自体を国民は受け入れているともいえる。そして、「法律による行政の原則」がこのような行政活動の適法性と法秩序の指導原理といえ、その原則から外れた場合の矯正手段として、国民に争訟の機会を付与していると思われる。
逆に、「行政活動の適法性」や「客観的法秩序」を侵害する行為があったときに、それを是正する手段を国民が持ちえないとすればそれは国民にとって不幸である。少なくとも権利行使の機会は与えようでないか、ということになる。また、利用しやすい制度ということで時代に合わせて工夫を凝らしていく必要もある(手続面の便宜や、実質的意味で保護法益を拡充するなど)。

tips
・客観訴訟

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