2009年10月24日土曜日

訴訟手続 総論

司法権の本質:事実の認定と法の適用→裁判所内部で役割分担

三審制

流れ: 第1審

    →控「訴」(第2審=控訴審)

    →「上」告(第3審=上告審)  「上」「訴」


民事事件:第1・2審:事実審 

      第3審:法律審(殆どが最高裁)

刑事事件:第1審:事実審

      第2審:【原則】法律審 【例外】量刑不当・事実誤認の場合のみ事実審(高裁)

      3審:法律審(最高裁)


・事実審:事実の認定と法の適用の双方を審理。

・法律審:法令違背の有無のみを審理。事実審において適法に認定された事実に拘束される。

     ・特に最高裁には、違憲審査権が期待されている。

     ・最高裁は法律審だが、職権で事実問題の判断も可。


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・簡易(控訴)→地方(飛躍・跳躍上告)→最高

・地方(控訴)→高等(上告)→最高

・家庭(控訴)→高等(上告)→最高

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・抗告: 裁判所の下す裁判以外の決定・命令に対して上訴すること。

・簡易:

    ・民事事件:少額民事訴訟・・・140万円以下の事件、60万円以下の金銭請求事件

    ・刑事事件:罰金刑以下の刑事訴訟


・飛躍上告(民事訴訟、行政訴訟:民事訴訟法)

・跳躍上告(刑事裁判:刑事訴訟法)


管轄

法定管轄  事物管轄 土地管轄

合意管轄  非専属的合意管轄 専属的合意管轄 合意管轄条項・合意管轄約款



法と規範、法の分類

規範

・社会規範:社会のルール。社会あるところにルール(規範)あり。

規範の【例】:

 法、道徳、慣習、宗教



規範の機能は以下。

法規範

 ・規制対象:人の外部的行為

 ・国家権力による他律規範


法規範の3種類の機能

1.行為規範:

  人の行為の規律

2.裁判規範:

  行為規範を守らなかったときの解決基準を示す。

3.組織規範:

  統治機構に関する規定等、直接には人の行動を規律しない組織に関する準則。

法規範の特徴

 ・人の行為選択の基準となりうる

 ・国家によるサンクションを伴う

 ・社会秩序の維持を目的とする



【例】契約書

・紛争処理規範


・道徳規範

  規制対象:人の内面

  自立規範


・宗教規範

 【例】隣人を愛せよ


法の分類(法源)

・制定法⇔判例法

・成文法⇔不文法

・慣習法、事実たる慣習(民92)(法的確信の有無の違い)

 慣習法の成立要件:繰り返し行われていること、法的確信が形成されていること

・条理=ものの道理 cf. 裁判事務心得3条

・公法:「公的機関」の設立と運営に関するルール

 【例】憲法→国家機関と機関の構成員たる公務員について規定

・私法=市民社会の法  

 歴史的にみれば、国家機関の関与・介入の必然性はない。

 私人間紛争について、サンクションを公平・確実に実施する機関という消極的役割を期待されていた。

 →民事不介入の【理由】、民事裁判における消極的介入の一側面の説明となる。



事件いろいろ

事件
・事件(民法)
・事件(地自法)


○○事件と手続き
・民事事件
非訟事件:家庭裁判所の民事事件
家事審判の対象:甲類事件
乙類事件:【例】離婚事件→調停前置主義




・家事事件
・行政事件
・刑事事件
・少年事件 20歳未満の少年。刑事手続に属する。
・労働事件<民事事件の一類型


・事件(地自法)

2009年10月23日金曜日

株式と契約

・株式交換契約 767

2009年10月22日木曜日

重過失の問われるときとは?

過失=軽過失と比べて重過失を採用している理由。
・責任を少なくともこの程度は負ってもらおうとする趣旨(責任負担)か。
・よっぽどの重大ミスがない限り、責任は負わないよとする趣旨(免責による保護)か。
・商取引におけて悪意と重過失は同視すべき

【例】
・公務員に対する国・公共団体の求償権行使(国賠法2)
・錯誤の主張の適用除外(民9・)
・譲渡禁止特約の譲渡の対抗要件 善意無重過失  条文+【判例】による【要件】過重
・譲渡会社の商号を継続使用する譲受会社に対してした弁済者の弁済の有効性(会22IV) 【要件】善意無重過失
・株券交付による権利所得(会131Ⅱ)
・民法【特則】としての、失火責任法(失火による損害賠償責任を重過失の場合に制限する法律)
行訴法
・被告とする者を誤ったときの救済
取消訴訟において、原告が故意又は【重大な過失】によらないで
被告とすべき者を誤つたときは、裁判所は、原告の申立てにより、
【決定】をもつて、被告を変更することを許すことができる。(行訴法15)Ⅰ

2009年10月20日火曜日

代理・代位・代行・代執行・代替など代わりになること

法律上、代わりになることについて。⇔本来のものを意識してみよう。

・本来が【原則】、代わりになるのが【例外】。

・代わりになれること・ものが前提。


代理→法定代理・任意代理 ⇔ 本人による法律行為

・法定代理:本人意思無関係→復代理選任の自由度

・任意代理:当事者の意思→復代理選任は基本しない。

・双方代理 【原則】禁止 【例外】双方の許諾

 【比較】自己契約 【原則】禁止 【例外】本人の許諾 →ともに108


代位: その地位に代わること→立場

・代位弁済  ⇔ 本人による弁済

・法定代位

・任意代位

・代位行使 ⇔ 本人による権利行使


代執行

・行政代執行 ⇔ 本人の執行に代えて。∵代替的作為義務違反

・簡易代執行  河川法・建築基準法

・代執行制度(地方自治)


意思疎通・意思表示と法律

0.意思疎通

・通知

 cf. 観念の通知

・催告

・通告 脅迫罪

 cf. 日常用語:予告・・・予め通告 民748 夫婦

・警告

・告知=解約告知、クーリング・オフ制度についての消費者に対する書面告知

・戒告by裁判長、代執行

・訓告

・論告by検察官

・送達

>・公示送達



・示達:上級の官庁から下級の官庁に伝達する

>・通達:主に行政機関内部において、上級機関が下級機関に対し、指揮監督関係に基づきその機関の所掌事務について示達するため発翰する一般的定めのこと。行政規則。


・報告
・連絡:日常用語



◇一般への公示制度:権利関係の明示化

・登録制度:特許(特許法)

・公示:一定の事項を周知させるため、公衆が知ることのできる状態に置くこと

・公布:法令

・公告:政府・公共団体が、ある事項を広く一般に知らせること、または公人・私人が法令上の義務により特定の事項を広く一般に知らせることをいう。【例】会社の公告。

 →官報、公報

【注意】広告:宣伝活動の一つ

・告示:国や地方公共団体などの公の機関が、必要な事項を公示する行為又はその行為の形式

・登記

・明認方法

・閲覧に供する 【例】公衆の閲覧に供する

 →閲覧権→公衆(一般)や、株主、債権者など利害関係人

 閲覧対象:議事録、名簿(従業員名簿、宅建取引主任者名簿、・・・)、帳簿



当事者間の意見交換

・協議

 ・事前協議制



1.意思表示

 ○○の意思表示

 【例】解除の意思表示

 【例】別段/特段の意思表示、異なる意思表示、反対の意思表示

国会

二院制=両院制→衆議院・参議院→なぜ二院?→異なる機能・異なる権能→

異なる権能→【例】解散権→あり→民意の迅速な吸い上げ∈衆院

                 なし→慎重な議論∈参院


2009年10月18日日曜日

行政法中の制度比較

1.教示制度 行審法(57条)と行訴法(46条)の教示制度

共通点

・教示主体:行政庁(共通)

・教示態様:書面による処分の場合、書面による教示義務があるのに対し、口頭による処分では教示義務はなく、任意であること。

・教示内容:

 不服申し立て(訴訟)の相手方

 不服申し立て(出訴)の期間


違い

・創設:行審法が先。行訴法でH16年改正で創設。

・行審法には利害関係人に対する教示義務があるのに対して(行審法57条2項)、行訴法には利害関係人に対する教示義務がない。

→国民の権利保障という観点からは、両者に教示義務があった方がいい。しかし、

(1)処分庁・不作為庁は自分自身に対する不服申立についてはよく知っており、「円滑迅速な行政サービスの実現」という観点から見れば、自ら教示するのが効率的であるが、行訴法の場合、行政庁が自分自身以外の「第三者」である裁判所の手続きにまで精通しているとは限らない。

また、

(2)誰が「利害関係人」かは裁判所が判断すべきことであって、行政庁が判断すべきことではない。

仮にこの教示義務を行政庁に負わせるとしたら過度の負担となり、「円滑迅速な行政サービスの実現」という観点から見れば、必ずしも適切とはいえない。よって行訴法では利害関係人に対する教示義務は規定されていない。つまり、行訴法における教示制度はあくまで情報提供というサービスにとどまり、詳細については裁判所や裁判に詳しい弁護士に確認して下さいというレベルのものである。

2009年10月9日金曜日

上長と部下の責務

組織の効率性を向上させる理念

・部下はとことん上司の指示に従い、上司は部下をとことん教育する。互いの責務を果たすことで信頼関係が生まれる。信頼関係の構築は、個人プレイヤーとしてではなく、チームプレイヤーとして仕事をする=組織人として仕事をする上で大前提。

・組織仕事上、厄介なのが、責務を自覚しないで惰性で組織を運営すること。中途半端な信頼、部下が中途半端に上司に従うこと、上司が中途半端な指示・教育を行うこと。つまり、各人が中途半端を志向すること(中庸、惰性でこれに向かう)。中途半端な信頼は、組織の意思決定・意思伝達の上で効率性を低下(伝導効率の低下)させ、中途半端に指示に従うことは、中途半端な仕事の成果しか出さず、中途半端に指示・教育を行えば、中途半端にしか部下は仕事を遂行せず、組織仕事に求められている必要な能力を育てず、組織の質の向上に管理職が努力していないことになる。

・信頼関係も不要、上長の指示に従う必要もない、部下に指示・教育を行う必要もないという立場。これは「組織全体」としての質の向上という意識を最初から放棄しているので、問題外。徹底的に行って組織能力の向上を目指す立場と逆の立場。1人プレイヤー、1人職人の仕事で満足している場合は、組織全体のことを考える人間としては不適格。

【結論】「勝手にやっていい」というのは、積極的責務の放棄


・上長と部下の一方が徹底性を志向し、他方が中途半端な場合。つまり本来同じ方向に進むべき車の両輪の勢いが違う場合、危険な運転となり、空中分解の可能性髙し。例えば部下がとことん指示に従いたいと思っても、上司が徹底的に指示・教育を行わない場合、つまり、その会社として進むべき道を示さない場合、部下はそうした道がないとあきらめ、自己自身で道を見つけ出す、つまり、「自己の道」を歩みだす。これで独自に頑張るというのなら、その組織に貢献するかどうかはともかく、「人類全体の生産力の向上」という観点からは歓迎すべきといえるかもしれない。が、まずいのは、そうした進むべき道が示されないことを部下が「道は会社から求められていない」ということを正解として受け止め(誤解をもって受け止め)た場合である。この場合、引き続き上司の指示・教育には従うが、自分なりに正解を得てしまったことで組織能力について抱く疑問を捨て、批判精神を放棄してしまう(盲目的従順)。そこで組織効率向上の意識は社員から失われる。部下1人でそうした誤った考えを持つならば、矯正でいいが、そうした誤った道を上司が示すとしたら、それは管理職として問題。

前者(1人の道を歩みだす)の場合、現在所属する組織を変えるか、別の組織に移るかは本人の意識次第。会社に恩義を感じることはなく、帰属意識にはつながらない。


【論点】「私はどこでも1人プレーヤーとしてやっていける」は単なる1人芸。単に自己能力を誇るだけ。「私はどこでもチームプレーヤーとしてやっていける」ことこそ、組織が求める人材ではないか。

つまり、チームプレイヤー能力とは何かということが求められる。まず、この能力は、当たり前のことだが、部下のみならず、上司にも等しく求められる能力ということ。

具体的なものを述べれば、

部下:忠実職務遂行(全員)

上司:適切な指示と教育、カリスマなど(一部)

【注意】忠実職務遂行にあたっては部下の裁量問題が絡む。また、別次元の問題として創造力が絡む。

これらについても上司の指揮監督権の適切な行使で「管理」すること(積極的管理にしても消極的管理にしても)が求められる。


【例】長い間時間をかけていって自分で学んでほしい(そして積極的指示・教育を放棄した場合)

→その組織が現在持っている現状惰性(指示・教育力)を肯定。確立した指示・教育体制があれば、部下は指示に従い、教育で育つ機会は与えられる。なければ、組織の望む形として指示が効率的には働かず、部下も成長しない。

いずれにせよ、部下・上司がそのつとめを放棄した場合、会社として業務効率向上(指示出しと教育)を放棄したことになり、組織全体の能力向上を志向する力は失われる。


議論の前提

・部下が上司に(これだと曖昧、より適切にいえば、上司の示す指導と教育)に全幅の信頼を置くこと。上司は、部下の資質を懐疑的に、かつ、長期的戦略の視野を持って眺めればいい。

・部下から管理職に要求するのはただ一点。上司の適切な指導と教育。自由を拘束するというならば、その管理の適切性を求め、自由を与えられた場合には、そのリスクを引き受ければいい。自由が一番裁量があり、怖い。リスクが高い。自由を求めるということはリスクをそれだけ引き受けるということ。


「勝手にやれと」いうことは「自由にやれということ」という裁量を与えること。受け取る側には、その自由を引き受けるリスクを覚悟を自覚して、諾否を決定する。


・判断の第三者評価

ちなみに、こうした部下・上司の判断の適切性を判断するため(各々の専断に陥らないよう)、現場からみれば第三者の「人事」が第三者機関として意見を求め、それを部下、上司は提出することになっている。

もっといえば、「人事」も社内的にみれば内部組織。よって判断が適切かどうかを担保するために、外部組織の視点を入手している。こうした外部から見た(俯瞰的な視点から見た)自らの判断の相対的位置をいうものを常に意識しながら物事を進めることが、冷静な判断として部下、上司に求められていると思う。




2009年10月8日木曜日

主観訴訟と客観訴訟

Q.なぜ個人の権利利益の保護を求める主観訴訟以外に、個人の権利利益の救済を目的としない客観訴訟が必要なのか?思ったところを述べよ。
A.個人の権利利益とは別に、行政活動の適法性の確保や客観的法秩序の維持を目的とする主観訴訟の存在する理由を考えてみる。主観訴訟は、個人の権利利益という「訴えの利益」があり、「個人の救済」という目的を達成するため。一方、客観訴訟では、個人の権利利益の救済は達することはできないのになぜそうした訴訟類型が必要とされたのか?いいかえれば、客観訴訟の「訴えの利益」は、国民が求めている利益といえるのか?
いえるとする場合、それは、「行政活動の適法性」や「客観的法秩序」という価値が、尊重・保護に値すると国民が考えているからに他ならない(考えがなければ制度として不要)。つまり、「行政活動の適法性」や「客観的法秩序」を尊重しているということは、その前提として、行政主体による行政活動の存在と、客観的法秩序をもたらす法による支配を尊重しているということであり、いいかえると、行政作用や法秩序の存在の必要性自体を国民は受け入れているともいえる。そして、「法律による行政の原則」がこのような行政活動の適法性と法秩序の指導原理といえ、その原則から外れた場合の矯正手段として、国民に争訟の機会を付与していると思われる。
逆に、「行政活動の適法性」や「客観的法秩序」を侵害する行為があったときに、それを是正する手段を国民が持ちえないとすればそれは国民にとって不幸である。少なくとも権利行使の機会は与えようでないか、ということになる。また、利用しやすい制度ということで時代に合わせて工夫を凝らしていく必要もある(手続面の便宜や、実質的意味で保護法益を拡充するなど)。

tips
・客観訴訟