2009年8月4日火曜日

損害概念の色々

違法行為→損害→賠償
適法行為→損失→補償


1.直接損害・間接損害
2.通常損害・特別損害
  財産的損害・精神的損害∈非財産的損害
  積極的損害・消極的損害
3.拡大損害
4.一次損害・二次損害
5.懲罰的損害・偶発的損害

0.財産的損害、精神的損害(民法・私法)
  債務不履行における損害賠償、不法行為における損害賠償

  事実的因果関係を前提とし、更に相当因果関係の範囲(または保護範囲、平井)にあれば、財産的損害・精神的損害(に対する賠償が慰謝料)を請求可。積極的損害のみならず消極的損害(得べかりし利益=逸失利益)も含まれる。

1.通常損害・特別損害(民法416条)
  損害の範囲:
  通常損害(通常の事情)+特別損害(特別事情の下、当事者による予見了or予見可能性※→相当因果関係説)
  ※不法行為に基づく損害賠償の範囲(規定なし)についても、416条が類推適用される(通説)。
    異論あり。

2.直接損害と間接損害
 概念自体は法律上定義されてははいない。
 →会社法の論点参照。
 →民法上は2-3参照。通常損害・特別損害(契約関係に起因する損害)と混同しないこと。

2-1 保険の区別~直接損害・間接損害

  【例】自動車事故の場合
  ・直接損害:修理費等(原状復旧費用)
  ・間接損害(indirect loss, cosequential Loss):
    代車費用、臨時費用、残存物の処分費、休業損害など(相当因果関係による限定)
  
  【例】火災による賃貸建物の消失
  ・直接損害:建物消失
  ・間接損害:建物の賃料が取得できなくなること

2-2 会社法上の区別
(論点)429条1項の損害には間接損害も含むか?
(解)最高裁判例では、直接損害・間接損害両方含む。
 http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50456629.html
 ・間接損害概念が不明確(葉玉)

「(役員等の)責任が第三者の直接損害と間接損害の双方に及ぶのか,そのどちらかに限られるのかについても,見解が分かれている。直接損害とは,役員等の悪意・重過失のある職務執行により直接に第三者が蒙った損害をいい,間接損害とは,役員等のこのような職務執行により会社に損害が生じ,その結果第三者が蒙った損害をいう。」(前田・第11版会社法入門440P・有斐閣)間接損害とは,役員等の任務懈怠によって,会社財産が毀損され,その結果,取引先や金融機関などの債権者の債権が劣化するという損害です(もちろん会社財産の毀損と債権劣化の関係はイコールではありません。)。
http://fa-magazine.at.webry.info/200802/article_9.html

2-3 民法上の区別

「間接損害
1.加害者の行為(加害行為)によって被害者が損害を被り、その結果に起因して、第三者が間接に損害を被った場合の、その第三者の受けた損害。不法行為領域で使用される概念(契約法の領域ではない)◇ 加害者→被害者(直接損害)→第三者(間接損害)

2.不法行為による債権侵害により発生した債権者固有の損害(企業損害)。債務者自身の損害と区別。政策上、債権侵害の故意のある場合に限り不法行為が成立すると解すべき(通説、内田)。

理論的には、契約の一方当事者によって相手方当事者が損害を受け、その損害(直接損害)に起因して、(契約外の)第三者に損害(間接損害)が生じることもあるだろう。
  ◇ 一方当事者 → 相手方当事者(直接損害) → 第三者(間接損害)
しかし、契約で縛ることができるのは、直接の契約相手方だけである。
間接損害を排除する特約を入れたところで、契約外の第三者には効果がない。
(契約外第三者との関係は、あくまでも不法行為の関係に過ぎない。)」
引用:http://koiso-law.cocolog-nifty.com/houreikeiyaku/2009/04/post-7474.html
  
3.拡大損害:PL法
安全性を欠いた欠陥のある製造物に起因して、人身または他の財産に拡大して及ぶ損害(PL法)のこと。製造物の損害と区別。→二次損害、間接損害といえる。


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【例】損害概念の定義が不明確な条項

第12条 損害賠償及び当社の免責等事項

1.当社は、サービスの完全な運用に努めますが、保守作業、停電や天災などの不可抗力、その他の理由により当サービスの運営を一時的に停止することがあります。運営の一時的な停止によって契約者に損害が生じた場合、当社は免責されるものとします。
2.本サービス利用及び本サービスのサポートに関して契約者に損害が生じたとき、それが当社の責に帰すべき事由による場合は、当社は当該損害のうち直接損害について損害賠償責任を負うものとします。ただし、かかる損害賠償額は、月額利用料金額を上限とします。当社は逸失利益、間接損害、拡大損害、事業機会の損失、データの損失、事業の中断、信用失墜等の財産的評価に対する責任は一切負わないものとします。
引用:http://www.twinspark.co.jp/echoasp/pdf/echo_application.pdf

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