1.義務
一般に「権利」と対比・対応。法律上も同様(権利義務関係)。
権利→~を有する、行使 (cf. 「権利」の外側にある「反射的利益」)
義務→~を負う、履行 免除:義務の解除 許可:一般的禁止の解除(以上、行政法)
2.責任
主な責任類型を挙げてみると、法的責任、社会的責任、道義的責任などか。
・法的責任→義務違反→サンクション
・社会的責任→社会的立場・影響等からの評価に基づく責任追及の視点
を提供。【例】CSR
・道義的責任→暗黙として法的責任が問えない事由を非難する意味で使用。
2-1 責任主体
まず、責任を負う主体を人と仮定すると、その責任能力が問題となる。
①刑法上の責任能力:
事物の是非・善悪を弁別し、かつそれに従って行動する能力。責任能力のない者に対してはその行為を非難することができず、刑罰を科す意味に欠けるとされる。責任無能力(心神喪失、触法少年)や限定責任能力(心身耗弱)の認定。
②民法上の責任能力:
不法行為に関する責任を負う能力。本人が責任無能力の場合には、監督義務者が監督義務違反を問われる(民714)。→何らかの形で義務が想定される一例といえる。
2-2.義務と責任の関係
日常的には同じ意味で使う場合もあれば、違う場合もある。以下、法的義務・法的責任について言及(「義務」・「責任」と呼ぶ)。
・法律上、「義務」は論理的にも時間的にも「責任」に先行する。
・「義務」違反→「責任」 「義務」が前提となり、「責任」が問われるのが原則。
【一例】
・私法における過失「責任」主義: 過失=落ち度がある→注意「義務」違反
・刑法における責任主義:与えられた規範が「義務」であり、「義務」違反に対する非難可能性で責任が問われる。
ただし、両者の関係を図式化すると、
・「義務」違反→「責任」の発生(認定)or不問(無発生)
・「義務」違反なし→「責任」発生or無発生
の両方が考えられるので、義務違反→責任は原則としては主張可だが、必然性は導かれない。
cf. 無過失責任(私法上の三大原則の例外)
法律違反→責任。義務違反というより、法律違反ゆえの責任。
∴ 法律違反と義務違反は必ずしも一致しない。
【例】民法における「責任」と「義務」の使い分け。
安全配慮「義務」、善管注意「義務」 ×・・・責任
契約責任(債務不履行責任) ×・・・義務
具体的に「責任」を分類すると、
①民事責任:
契約、不当利得、不法行為、事務管理によって生ずる民法上の債務を指すことが多い(責任=債務の意味)。【例】契約責任(債務不履行責任)、不法行為責任など。
②刑事責任:
【狭義】有責性。責任類型は故意・過失。
③訴訟法上の責任
主張責任、証明責任(挙証責任、立証責任)の分担
3.責務
Q.図式としてはどちらが正解か?
責任+任務→責務
責任+義務→責務
総務省法令データベースで検索すれば用法は分かる。
英語 obligation, responsibility, accountability, task, commitment, ...
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