2009年7月23日木曜日

法律表現~片面的表現・両面的表現

法律事象を言語で表現する場合、実体には二面性がありながら、その一面性を取り出して表現するものが存在する。

1.権利と義務
・権利義務関係(両面)→権利関係(片面)   便宜上
・債「権」・債「務」(両面) 
 毎度両方に言及するのは難儀ゆえ、使用時に一方への言及で済ませる場合多し。
・双務契約(片面)
 「双」方債「務」を負う契約→債権ではなく、債務(義務)に着目した表現

2.行為
・売買(両面)→売却(片面)+買受(片面)    物上代位(民304)→売却 

・引渡し(片面)+受取り(片面)→受け渡し(両面)
 「引渡し」を英語で表現すれば分かるが、物を渡す行為についてのみ言及しており、受ける側に焦点を当てた表現ではない。「物の引渡し(占有の移転)が動産の物権変動の対抗要件となる」といった場合、あくまで引渡側(譲渡人、売主)の行為に着目している。逆に受け取り側(譲受人、買主)に着目した片面的表現としては、「受領」(商526)など。

 ちなみに、受け渡しは「渡す」ことと「受ける」ことの双方の動作を表現。

・伸縮(期間等)→ 伸張・短縮∈変化

 

3.中立用語の分解

利害関係を読み込んでいないある用語に、当事者の視点を読み込むことは可能である。

・賃料→賃借料、賃貸料

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